独立・起業 HOME経理・経営ノウハウ > 福利厚生費で節税 (1) - 通勤手当
  福利厚生費で節税 (1) - 通勤手当
1. 通勤手当は「非課税」です
2. 通勤手当 非課税の条件: 「マイカー・自転車」の場合
3. 通勤手当 非課税の条件: 「電車・バス」の場合
4. 徒歩通勤の場合、どうなるか?
5. 通勤手当は、社会保険料の「標準報酬月額の対象」となります
6. 通勤手当の仕訳処理
7. 通勤手当を旅費交通費で処理するのは不適切です


  1.通勤手当は「非課税」です  

 役員・従業員に支給する通勤手当(通勤費)は、「福利厚生費」として費用計上できます。受け取った側も、一定限度額までは非課税となっています(所得税の非課税)。正社員だけでなく、パート・アルバイトの通勤手当も対象となります。ただし、上限額を超えたものは、「給与所得」と見なされ、超過分には所得税が課税されます。なお、市区町村から徴収される市県民税(市民税・県民税)も、この所得税の扱いに準じて「非課税」となります。

  2.通勤手当 非課税の条件: 「マイカー・自転車」の場合  

 マイカー・自転車の場合(交通用具を使用する場合)、下表のとおり、距離に応じて、一定の限度額まで非課税となっています。通勤距離とは、通勤経路に沿った長さ(実際に通行する道路の長さ)を指します。例えば、片道 2km 以上 ~ 10km 未満であれば、1カ月当たりの金額 4,200円 までが非課税となります(片道 2km 未満の通勤費は全額課税対象)。この限度額を超える金額を支給する場合は、超えた額については給与とみなされ、所得税が課されます

 なお、本法令は、平成26年10月に改正され、非課税限度額が引き上げられました。平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について、以下の金額が適用されます(平成26年の年末調整では、改正後の金額が適用されます)。


片道の通勤距離 1カ月当たりの非課税限度額
2キロメートル未満 (全額課税)
2キロメートル以上 10キロメートル未満 4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満 12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 28,000円
55キロメートル以上 31,600円

 なお、有料道路を利用している場合、有料道路の実費分(通勤割引などがある場合は、その金額)につき、上表の「距離に応じた限度額」と合わせ、1カ月当たり 10万円 まで非課税です。ただし、有料道路を利用することが合理的であること(通勤時間の短縮等のメリットがあること)、また実際にその従業員が有料道路を利用していることが条件となります。税務調査で実際に利用していないことが判明すれば、所得税等の課税対象となります。

 例: 通勤距離 片道30キロメートル、有料道路 片道1,000円(割引後料金)の場合
     18,700円+1,000円×往復2回×22日=62,700円 が非課税限度額となります。

参考リンク: 国税庁 「マイカー・自転車通勤者の通勤手当


  3.通勤手当 非課税の条件: 「電車・バス」の場合  

 電車・バス通勤者は、通勤定期券の金額が非課税となりますが、上限が1カ月当たり 10万円 までと定められています(例えば、3か月の定期券なら、月換算して上限金額を判断します)。

 通勤定期券の金額は、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の金額」とされています。新幹線を利用した場合の運賃も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン車の料金は含まれませんので、ご注意ください。なお、上限金額を超えた額については、給与とみなされ、所得税が課されます。

参考リンク: 国税庁 「電車・バス通勤者の通勤手当


  4.徒歩通勤の場合、どうなるか?  

 徒歩通勤の場合は、非課税限度額は0円です。つまり、福利厚生費として1円も費用計上できません。「2.マイカー・自転車... 」の項で、2キロメートル以上は 4,100円 となっていますが、これはあくまで自転車等(交通用具)を使用した場合の話であり、徒歩通勤の場合は、費用計上は認められていません。徒歩通勤なら、交通機関・交通用具利用などの実費負担がないわけですから、通勤手当を支給する根拠とはなりませんね。もし徒歩通勤の人に通勤手当を支給すれば、給与とみなされ、所得税の課税対象になります(全額課税)。


  5.通勤手当は、社会保険料の「標準報酬月額の対象」となります  

 ここで、ちょっとややこしくなるのですが、前述のとおり、通勤手当の支給分については所得税が非課税となりますが、社会保険料の標準報酬月額の対象となる報酬に含まれますので、ご注意ください。事業所の給与規定に定めのある通勤手当は、「労務の対償として受けるものである」とされているからです(詳細については、以下のリンクをご参照ください)

 例えば、電車通勤の手当が6万円かかっているとすると、所得税は6万円の定期券代に対して所得税はかからないのですが、社会保険料はその6万円の上乗せ分をゴッソリと持っていかれます。つまり、給料の手取り額が大きく目減りする原因にもなります。

参考リンク: 日本年金機構 「標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。










  6.通勤手当の仕訳処理  

 通勤費(通勤手当)は、所得税法上の非課税所得として取り扱われる(つまり、従業員の福利厚生目的の給与所得であるため、非課税となっている)ため、その特徴を考慮すれば、「福利厚生費」の科目を使うのが一般的・原則であるといえます。また、課税対象の給与所得と区別するためにも、福利厚生費で処理した方が良いでしょう。


  ( 借 方 )   ( 貸 方 )
給 料 (4月給料) 300,000 普通預金 or 現金 265,800
福利厚生費 4,100  預り金 3,000
  預り金 5,000
  預り金 30,300

 1人分の給料の計算方法を確認してみましょう。まず、 ①天引き前の額面の給料 300,000円 から社会保険料(304,100円に対する社会保険料)を差し引き、 ②次に差し引いた金額に対する源泉所得税を計算し控除、 ③同時に市県民税を差し引き、 ④最後に通勤手当 4,100円 を加えれば、 残額が手取り給料 265,800円 となります(なお、上記仕訳では 「未払給与分の仕訳」 の記載を省略しています。あらかじめご了承ください)。


  7.通勤手当を旅費交通費で処理するのは不適切です  

 なお、一部の会社では「旅費交通費」の科目で処理しているところもあるようでが、旅費交通費は「役員や従業員が業務を行うため、勤務先以外の場所へ移動するのに要した費用」のことをいいます。つまり、「出張などで要した交通費」を処理する科目であるため、適切な処理ではありません。社内の経理上、どうしても他の福利厚生費と混同させたくないのであれば、新たに「通勤費(通勤手当)」勘定を設けて社内処理すると良いでしょう。ただし、決算書作成の段階では、他の福利厚生費と合算して表示するのが妥当です。