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  資産を経費にできる金額は?
1. 「経費計上」と「固定資産計上」の区分は?
2. 「30万円未満の少額減価償却資産の特例」 を活用しましょう
3. 「30万円の少額減価償却資産」は、固定資産税(地方税)の課税対象?
4. じゃあ、(20万円未満の)「一括償却資産制度」の使い道は?
5. 「固定資産税」のマメ知識


  1.「経費計上」と「固定資産計上」の区分は?  

 最近は、パソコンの価格も下がり、手頃なものだと4~5万円で購入できるものも登場してきました。取得価額が「10万円未満」の場合、消耗品費などの費用として処理が可能です(全額損金算入可能)。

 しかし、仕事で使うとなると、もっと高価で高性能なパソコンが欲しいということもあるでしょう。15万円とか、22万円とか・・・。とはいえ、高額なものとなると固定資産に計上しなければならず、例えば 4年にわたって償却し続けなければいけない等々・・・、減価償却を使って毎年少しずつしか費用化できないというデメリットも生じます。

 ただし、30万円未満までの少額資産なら、以下にご説明する特例などを活用して、デメリットをメリットに変えることができます(税金面でトクをすることができます)。まずは、取得価額(10万円未満、20万円未満、30万円未満)ごとに、経費計上と固定資産計上の区分、課税対象の有無などについて確認してみることにします。

取得価額 10万円未満 20万円未満 30万円未満
名称 少額の減価償却資産 一括償却資産 少額減価償却資産の特例
償却方法 全額即時損金算入
(消耗品等で損金計上)
3年間で均等償却
(残存価額なし) [※1]
全額即時損金算入
(資産計上し即時償却) [※2]
会計区分 経費 (損金) 固定資産 固定資産だが全額損金
償却資産
課税対象
[市町村申告]
課税なし 課税なし
(市町村等への申告不要)
課税対象
(市町村等への申告が必要。ただし、150万未満は固定資産税免除)
[税務署申告]
( 法人 )
不要 (経費処理) 別表16 (8) 別表16 (2) の備考欄
及び 別表16 (7)
[税務署申告]
(個人事業)
不要 (経費処理) 収支内訳書の
減価償却費欄に記載
収支内訳書の
減価償却費欄に記載

 一番面倒が無い方法は、やはり、資産の単価を10万円未満(99,999円)に抑えて、年度内に全額を損金算入(費用計上)する方法ですね。後腐れが無くて、スッキリします。でも、どうしても10万円以上となってしまう場合には、「30万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を活用して、全額を損金算入する方法(年度内に全額を経費に計上する方法)を選択するのも有効な手段です。次項以降で解説いたします。

※1: 毎年3分の1ずつ損金算入します。
※2: 「少額減価償却資産の特例」で取得する30万円未満の資産は、「消耗品」等で費用計上する方法も可能です。しかし、「固定資産」としての把握が漏れやすくなるため、お勧めできません。消耗品費で処理しても、固定資産台帳への計上(&市町村への固定資産の申告)と、申告書の別表16 (七) への記載をしなくてはいけません。このため、「固定資産として一旦計上して即時償却」する方法を選択した方が、事務処理上もスッキリし ベターです。

参考リンク: 国税庁 「少額の減価償却資産 (10万円未満の資産) になるかどうかの判定の例示


  2.「30万円未満の少額減価償却資産の特例」 を活用しましょう  

 「30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例制度」は、取得価額が30万円未満までなら、全額を その事業年度の経費 に計上できるという制度です。この制度は、平成26年3月までとなっていましたが、更に2年延長されて、平成28年3月まで継続して適用を受けられることとなりました。


 前述のとおり、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けることができる資産は、30万円未満の少額資産です。その取得価額の合計額のうち、300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度とされています。
① 取得価額が10万円以上~30万円未満の減価償却資産である
② 適用事業年度の少額減価償却資産の取得価額合計が300万円以下である


 適用を受けるためには、青色申告している中小法人・個人であればOKです。また、購入した年度内に使用を開始することが求められます。
① 青色申告法人(青色申告者)であること
② 個人事業主・中小企業者(資本金1億円以下・従業員千人未満)であること
③ 適用事業年度に当該資産の使用を開始していること


 法人の場合、確定申告書を税務署へ提出する際は、別表16 (7) の添付と 別表16 (2) の備考欄への記載が必要になります。なお、別表16 (7) 末尾の備考欄には、 「取得価額30万円未満の減価償却資産について措置法67の8の規定を適用している。また、適用した減価償却資産の取得価額の合計額は○○○円であり、その明細は別途保管している。」 と記載します。詳細は、以下の記載例をご覧ください。
法人の場合
 ① 少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16 (7) )を添付する
     H26年・別表16 (7) の様式は、こちら (PDFファイル)
 ② 別表16 (2) の備考欄に少額減価償却資産がある旨を記載する
     別表16 (2) <備考欄> への記載例は、こちら
参考リンク:  国税庁 「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
 国税庁 「『少額減価償却資産の特例制度』を適用する場合の明細書の添付

 個人事業主の場合は、収支内訳書の「減価償却費の内訳」欄に30万円未満の少額減価償却資産の内容を記載します。詳細な記載方法は、下記リンクをご参照ください。
個人事業主の場合
 ① 収支内訳書の「減価償却費」欄に少額減価償却資産の明細を記載する
     少額減価償却資産の明細の記載例は、こちら (PDFファイル)
参考リンク:  国税庁 「少額減価償却資産の特例制度」を適用する場合の明細書の添付







  3.少額減価償却資産は、固定資産税(地方税)の課税対象?  

 「30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例制度」を使って固定資産に計上した少額減価償却資産は、固定資産台帳に記載する必要があります。年度内に全額償却するからといって、台帳に掲載するのを省略することはできません。また、台帳に記載されるものについては、固定資産税(都・市町村)の課税対象となります。

 「えっ?税金がかかるの?」と驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、償却資産の課税標準額(都・市町村が決定した価額)が合計150万円未満の場合は、課税免除となりますので、ご安心ください。ちなみに、150万円以上となった場合の税額は、
税額 = 課税標準額 × 税率 (100分の1.4)
となります。

 150万円未満なら課税免除となりますが、固定資産台帳に掲載し かつ 市町村等に申告することにより、市町村側でも150万円を超えたかどうかを把握することになります。

資産の償却方法 固定資産税の有無
消耗品費 (10万円未満) 非課税
一括償却資産 (20万円未満) 非課税
少額減価償却資産の特例 (30万円未満) 課税 (150万円~)
減価償却資産 課税 (150万円~)


  4.じゃあ、(20万円未満の)「一括償却資産制度」の使い道は?  

 「一括償却資産の損金算入」の制度とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産について、3年間で均等償却することができるという制度です。会計期間の途中で取得しても、月割で計算せず、年割、すなわち毎年3分の1ずつ償却(3年間で均等償却)できます。


 「一括償却資産」として処理する場合、毎年3分の1ずつしか費用計上(減価償却)できないため(全額を費用計上できないため)、黒字額が大きいときなどは「節税効果」をあまり得られません。儲けが出ているなら、「30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例制度」を使って全額償却してしまった方が得です。ただし、赤字の場合は、事情が変わってきます


 すなわち、前述の「30万円未満の少額減価償却資産制度の特例」の適用を受ける場合、赤字であろうがなかろうが、固定資産税(償却資産)の対象となります。固定資産の課税標準額が150万円以下であれば、固定資産税の課税は免除されますが、耐用年数の範囲内であれば、翌期にも残存価額は引き継がれるため、固定資産税課税の可能性も同時に引き継がれます。翌年度に新しい固定資産を取得して150万円をオーバーすれば、固定資産税が課税されます。

 しかし、「一括償却資産」であれば、その年度が確実に赤字になったり、翌年以降も過去の繰越欠損金で法人税が課税されないようであれば、3分の1しか償却できなくても、赤字には変わりないため、法人税等の課税上は何ら問題ありません(税務上の損はありません)。むしろ、経費の「翌年度への繰り延べ」にもなりますので、ケースによっては得になることもあります

 また、冒頭の表にも書きましたが、一括償却資産の場合、固定資産税の課税対象となりませんので、「30万円未満の少額減価償却資産制度の特例」のように、課税免除の上限(150万円)を気にする必要もありません。


 法人の場合、確定申告書を税務署へ提出する際は、別表16 (8) を添付します
法人の場合
 ① 一括償却資産の取得価額に関する明細書(別表16 (8) )を添付する
     H26年・別表16 (8) の様式は、こちら (PDFファイル)

参考リンク:  国税庁 「別表十六 (八) 一括償却資産の明細書(様式)」(PDF)
 国税庁 「別表十六 (八) 一括償却資産の明細書(記載方法)」(PDF)
 個人事業主の場合は、収支内訳書の「減価償却費の内訳」欄に一括償却の旨を記載します。詳細な記載方法は、下記リンクをご参照ください。
個人事業主の場合
 ・収支内訳書の「減価償却費」欄に一括償却資産の明細を記載する
参考リンク:  国税庁 「H25・収支内訳書の書き方」(PDF) ← 一括償却資産の説明あり

参考リンク:

  5.「固定資産税」のマメ知識  

 固定資産税(償却資産)は、所得税などの国税と異なり、各市町村が管轄する「地方税」になります(東京23区は都が管轄)。1月1日時点で保有する「償却資産」を、1月31日までに市区町村役場へ申告します(申告書類を提出)。償却資産の合計額が150万円未満の場合には、固定資産税が課税されませんが、償却資産の申告は必要です。お忘れのないようご注意ください。

【 課税の対象となる固定資産 】
  ① 事業の用に供する減価償却資産 (建物構築物、機械、工具器具備品、特殊車両等)
  ② 資産の改良費 (資本的支出の額)
  ③ 「少額減価償却資産の特例」を適用した固定資産 (租税特別措置法の特例)
  ④ 償却済みの固定資産
  ⑤ 観賞用の生物 (事務所受付の熱帯魚など。「器具備品の生物」に該当)
  ⑥ 繁殖用の家畜、収穫用の果樹 など (減価償却資産の「生物」に該当)

【 課税の対象とならない固定資産 】
  ① 無形固定資産 (ソフトウェアなど)
  ② 自動車税、軽自動車税の課税対象車両 (乗用車など)
  ③ 一括償却資産(取得価額が20万円未満で、3年間の均等償却を選択した資産)
  ④ 耐用年数1年未満、又は10万円未満の資産で、全額必要経費に算入したもの
  ⑤ 生物 (観賞用の動植物を除く)
  ⑥ 食肉用の家畜 (他者転売目的のものは「棚卸資産」に該当)   など