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  小規模企業共済制度について (2)
[前ページ]
1. 小規模企業共済とは?
2. どんなメリットがあるのか?
3. 掛金払い込みによる節税効果は?
4. 小規模企業共済加入の注意点
5. 小規模企業共済の加入条件
[本ページ]
5. 共済金・解約手当金の区分
6. 共済金・解約手当金の受取額
7. 共済の「税法上の区分」について
8. 税法上の区分に基づく課税金額
9. 掛金の納付方法


  5.共済金・解約手当金の区分(請求事由)について  

 共済金・解約手当金は、共済脱退の理由(請求事由)によって区分が異なります。この区分により、共済金等の受取額も大きく異なってきますので、注意が必要です。次項の 「共済金・解約手当金の受け取り額について」 で詳しく説明いたしますが、共済金の受取額が一番多くなるのは共済金Aで、続いて共済金B、準共済金となります。任意解約の場合は、解約手当金に区分され、受取額が大幅に減ります。

 下の請求事由の各表をご覧いただけるとわかりますが、大まかなイメージとしては、
(1) 個人事業または法人を「廃業・解散」したとき ⇒ 共済金A
(2) 個人事業・会社存続のまま、「65歳を超えて老齢給付」を受けた場合 ⇒ 共済金B
(3) 「個人事業の事業譲渡」や「任意等の役員退任」等の場合 ⇒ 準共済金
(4) それ以外の事情で任意解約するとき ⇒ 解約手当金
になります。

 「終末」 のイメージをどのように考えるかによって、将来どれに該当してくるかが おのずと わかります。例えば、私個人の「将来のイメージ」としては、自分の子供には 「外の世界で活躍してほしい」 (跡継ぎの考えはゼロ) と考えており、また 今の会社は「私一代限り」(法人解散)と考えているため、共済金Aを受け取れればいいな、と考えています。皆さんも、将来(終末期)をイメージして、どれに該当しそうかをお考えになってみると、共済加入の是非・損得が見えてくると思います。

 なお、共済契約者(加入者本人)が「死亡」した場合は、個人事業・法人・共同経営者のいずれの立場かによって、扱い(請求事由)が異なってきますので、ご注意ください。


種類 請求事由
共済金A
個人事業を廃業した場合
共済契約者が亡くなった場合
共済金B
老齢給付(共済に加入して15年以上掛金を払い込み、かつ満65歳以上の方が仕事を続けたまま共済金を請求する場合)
準共済金
配偶者または子に事業の全部を譲渡した場合
個人事業を法人成りし、その法人の役員にならなかった場合
個人事業を法人成りし、その法人の役員になったが、その法人が小規模企業でなかった場合
解約手当金
機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
個人事業を法人成りし、その法人の役員になった場合


共済金A
法人を解散した場合
共済金B
病気や怪我により法人の役員を退任した場合
共済契約者が亡くなった場合
老齢給付(共済に加入して15年以上掛金を払い込み、かつ満65歳以上の方が仕事を続けたまま共済金を請求する場合)
準共済金
任意または任期満了で法人の役員を退任した場合
解約手当金
任意解約
機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)


共済金A
個人事業主の廃業に伴い、共同経営者を退任した場合
病気や怪我により共同経営者を退任した場合
共済契約者が亡くなった場合
共済金B
老齢給付(共済に加入して15年以上掛金を払い込み、かつ満65歳以上の方が仕事を続けたまま共済金を請求する場合)
準共済金
個人事業主が配偶者または子に事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者が配偶者または子にその地位を譲渡した場合
個人事業主が事業を法人成りし、共同経営者がその法人の役員にならなかった場合
個人事業主が事業を法人成りし、共同経営者がその法人の役員になったが、その法人が小規模企業でなかった場合
解約手当金
共同経営者の任意退任による解約
任意解約
機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
個人事業主が事業を法人成りして、その法人の役員になった場合

 なお、掛金納付月数が6ヵ月未満の場合、共済金A、共済金Bは受け取れません(掛け捨てになります)。また、掛金納付月数が12ヵ月未満の場合、準共済金、解約手当金は受け取れませんので、ご注意ください。

参考リンク: 中小機構  共済金(解約手当金)について(共済金、解約手当金の区分の掲載あり)」
共済金の種類とそれらを受け取れる場合を教えてください。」(詳細な区分)
共済金は何ヶ月以上掛けていれば受け取れますか。


  6.共済金・解約手当金の受け取り額について  

 共済金の受取額が一番多くなるのは、共済金Aで、続いて共済金B、準共済金の順となっています。下表は、掛金を毎月1万円とした場合の例ですが、例えば、20年間納付して「共済金B」に該当した場合、掛金240万円が「266万円」になって支給されます。26万円も増えて戻ってきます(掛金残高比 111%)。スゴイですね。イマドキこんなにリターンが大きく、かつ安定した利殖の方法は、他にありませんね!

 しかし、任意解約の場合は「解約手当金」に区分され、受取額が大幅に減ります。15年間納付で解約手当金として受け取った場合は、掛金180万円が「167万円」に減額され、13万円以上も損をします(掛金残高比92.5%)。20年間払い込みをすると、やっと掛金と同額の解約手当金を受け取れます。

 このため、共済金A、共済金B、準共済金で受け取るのか、あるいは任意解約で解約手当金として受け取るのかといった、「請求事由の区分」は大変重要になってきます。つまり、メリットを享受するためには、「退職金」や「老後の年金」といった “明確な目的” を持つことが求められますね。


掛金納付年数 掛金残高
(元の掛金)
共済金A 共済金B 準共済金 解約手当金
5年 (60ヵ月) 600,000円 621,400円
614,600円
600,000円 480,000
10年 (120ヵ月) 1,200,000円 1,290,600円
1,260,800円
1,200,000円 1,020,000円
15年 (180ヵ月) 1,800,000円 2,011,000円
1,940,400円
1,800,000円 1,665,000円
20年 (240ヵ月) 2,400,000円 2,786,400円
2,658,800円
2,419,500円
2,400,000円
25年 (300ヵ月) 3,000,000円 3,620,200円
3,415,200円
3,107,840円
3,075,000円
30年 (360ヵ月) 3,600,000円 4,348,000円
4,211,800円
3,832,740円
3,780,000円
35年 (420ヵ月) 4,200,000円 5,050,800円
5,050,800円
4,596,220円
4,515,000円
最低納付月数 6ヵ月以上 6ヵ月以上 12ヵ月以上 12ヵ月以上

 基本共済金の受け取り額は、小規模企業共済法施行令の「別表第一(第二条、第四条関係)」に明記されています。共済金A (A共済事由)は第二欄を使用、共済金B (B共済事由)は第三欄を使用、準共済金は第四欄を使用します。一口500円当たりの受け取り額が記載されていますので、「掛金月額1万円に対する 将来の受取額」を計算するには、「別表第一の金額×20倍」にすれば金額が出ます(10,000円÷500円=20口分であるため)。月額2万円なら、「別表第一の金額×40倍」といった具合で算出できます。

 解約手当金は、同じページ下段の「別表第二(第四条関係)」に「支給割合」が掲載されています。なお、中小機構ホームページの「共済金(解約手当金)について → 基本共済金の額 および 解約手当金の額の算定方法」にも掲載されています。

参考リンク: 中小機構  基本共済金の額
解約手当金の額の算定方法
加入シミュレーション」(Flash版)


  7.小規模企業共済の「税法上の区分」について  

 『脱退理由』 によって、受取額の区分が「共済金A」、「共済金B」、「準共済金」、「解約手当金」に分かれることについては、「 5. 共済金・解約手当金の区分について」で説明いたしましたが、その 『受け取り方』(一部脱退理由も含みますが) によって、税法上の扱いが変わってきます。つまり、中小機構の区分と、国税庁の区分・基準が少し異なっており、課税される金額(課税控除額)が変わってきます。

 例えば、「65歳以上の任意解約」の場合、中小機構の区分では、掛金に対してリターンの少ない「解約手当金」となりますが、課税区分は「退職所得」扱いとなり、税金面では優遇されています。 また、「共済金B」に該当し、それを一括で受け取るなら「退職所得」扱いとなり、中小機構の支給額 & 課税控除額 の両方で得をする、といった具合になります。

種類 税法上の扱い
共済金・準共済金の一括受け取り 退職所得 扱い
共済金の分割受け取り 公的年金等の雑所得 扱い
共済金の一括・分割 併用受け取り (一括分) 退職所得 扱い
(分割分) 公的年金等の雑所得 扱い
共済契約者の死亡(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳以上の任意解約(解約手当金) 退職所得 扱い
65歳未満の任意解約(解約手当金) 一時所得 扱い
個人事業主が法人成りし、役員に就任
(解約手当金)
退職所得 扱い
個人事業主が法人成りし、共同経営者が
役員に就任(解約手当金)
退職所得 扱い
65歳以上の共同経営者が任意退任
(解約手当金)
退職所得 扱い
65歳未満の共同経営者が任意退任
(解約手当金)
一時所得 扱い
12ヶ月以上の掛金の未払いによる解約
(解約手当金)
一時所得 扱い
退職所得扱いになる場合、共済金、準共済金、解約手当金を受け取る際、『退職所得申告書』に記入して提出する必要があります。

参考リンク: 中小機構  共済金および解約手当金は税法上どのように取り扱われますか。
どのような場合に共済金を分割で受け取れますか。


  8.税法上の区分に基づく課税金額  

 前出の「税法上の区分」(扱い)を踏まえ、「退職所得」「公的年金等の雑所得」「一時所得」「みなし相続財産」の課税金額について確認してみましょう。


 退職金(共済金等)にかかる税額(税金)の計算方法は、以下のとおりです。まずは、退職所得の控除額を計算します。勤続年数20年まで1年間あたりで40万円、勤続年数21年からは1年あたりで70万円までが控除され、残りの金額(退職所得控除額を上回る金額)の2分の1に対し、所得税および地方税がかかります。退職金が退職所得控除額を下回っていれば、課税額はゼロです。

課税額 = (退職金退職所得控除額 [下表] ÷ × 税率

勤続年数
(契約期間)
退職所得控除額
1年 退職所得控除額=80万円
(80万円に満たない場合は、80万円)
2~20年 退職所得控除額=勤続年数×40万円
21年以上 退職所得控除額=800万円+(勤続年数-20年)×70万円
障害者になったことに直接起因して退職する場合は、上表の計算結果に 更に100万円を加算した金額が退職所得控除額となります。

 なお、「共済金」、「準共済金」、「退職所得扱いとなる解約手当金」を受け取る場合、税金を差し引いた金額が振り込まれるため、原則、確定申告をする必要はありません(共済金を請求する際に『退職所得申告書』の提出が必要)。ただし、共済金等を請求する際、すでにほかから退職金が支給されていた場合、合算して源泉徴収税額を計算することになりますので、中小機構に源泉徴収票を提出します。


 分割受け取りの場合、「公的年金等の雑所得」扱いとなります。分割共済金を受け取る場合、所得税および復興特別所得税は一旦差し引かれますが、この場合、厚生年金や国民年金等、他の公的年金と合算した金額から「公的年金等控除額」を差し引いた金額をもとに課税計算する必要があります。このため、確定申告をして税金の過不足を再度計算しなおさなければなりません。


 一時所得は、そのほかの所得などと合計して、確定申告で税金を計算します。退職所得のような課税控除の措置はありませんので、普通に、確定申告で納める税金を計算します。せっかく、月額の掛金が全額課税控除の対象となっていたにもかかわらず、一時所得として受け取ったら、「控除になってコツコツと得をした節税分を一気に&ゴッソリと税金で持っていかれます。なお、払い込みした掛金の総額は、一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入できません。


 共済契約者の死亡により、遺族が共済金(死亡退職金)を受け取る場合、「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、非課税限度額(後述)を上回っていた場合にのみ、課税価格に加算します。なお、死亡退職金と生命保険金は、この「みなし相続財産」に区分されます。

 みなし相続財産の「非課税限度額」の計算式は、「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」となります。この金額を下回った場合、課税価格に加算しません。

 ちなみに、相続財産は「本来の相続財産」、「みなし相続財産」、「相続開始前3年以内の贈与財産」、「相続時精算課税による贈与財産」に大別されます。これらを合算した金額から、「非課税財産」や「債務・葬式費用」を差し引き、「課税価格」を算出します。そこから基礎控除額「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」を差し引き、課税遺産額(課税遺産総額)を算出、・・・といった手順で計算していきますが、詳細な説明は割愛いたします。

参考リンク: 中小機構  共済金(解約手当金)を受け取った場合、どのような税金がかかりますか。


  9.掛金の納付方法  

 共済掛金は、掛金の払込方法(払込区分)は「月払い」「半年払い」「年払い」から選択でき、預金口座振替での払い込みになります。払込区分は、途中で変更することもできます(変更手続きの流れ)。

 なお、共済掛金は、過去に遡って納めることは出来ません。ただし、掛金を年払いで支払うと、加入した月以降の1年分の掛金をあらかじめ払い込んだことになり(一括前払い)、払い込んだ掛金全額がその年の所得控除の対象となります。その後、変更手続きを行えば、1年後から毎月払いにすることもできます。