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  年金&老後の年金受給について (2)
[前ページ]
1. 国民年金と厚生年金の仕組み
2. 法人の社会保険料の負担は?
3. 厚生年金と健康保険料の合計額
4. 国民年金は低負担。 しかし・・・
[本ページ]
5. 「国民年金基金」とは?
6. 「全国民の年金一元化」の見通し
7. 年金は「高利回り」でオトク。


  5.「国民年金基金」とは?(厚生年金の代わりとなり得るか)  

 国民年金加入者(個人事業主 / 第1号被保険者)は、「国民年金基金」に加入して年金の上乗せをすることが可能ですが、国民年金基金で受け取れる年金は、「物価スライド」(マクロ経済スライド)がありません。すなわち、物価が上昇しても、国民年金基金の受取額は変動しません。一方、会社経営者やサラリーマンが加入する厚生年金(上乗せ年金)は、「物価スライド(マクロ経済スライド)」があります。つまり、物価が上昇すれば、年金の受取金額も大きくなります。

 景気が上向いて物価が上昇したら、将来的には 物価スライドから "マクロ経済スライド" へ移行されます。ただし、マクロ経済スライドが採用されるといっても、基本は「物価スライド」をベースにして算出されますので、物価の変動に応じて年金受給額もスライド(それに見合う金額へと上昇)していきます。

基礎年金 上乗せ年金
個人事業主 国民年金 (スライドあり) 国民年金基金 (スライドなし)
サラリーマン 国民年金 (スライドあり) 厚生年金 (スライドあり)

 ここ20年(1990年頃から現在まで)は、物価の変動がほとんどありません(むしろ物価が下落)でしたから、あまりピンと来ないかもしれませんが、今まで物価変動が無かった分、今後はその反動でインフレ(物価の上昇=貨幣価値の下落)が起きる可能性も十分に考えられます。実際に、現在の自民党政権は 2%のインフレ(物価上昇) を目標としています(実現するには困難を極めると思いますが・・・うまく離陸できるといいですね)

 過去の日本&世界の物価変動を見ると、何十倍にもなっています。高度経済成長が終わり低成長に入ってからでも数倍になっています。また、「国家財政破綻」「ハイパーインフレ」といったオソロシイ事態を想定しなくても、物価が上がる(=貨幣価値が下がる)可能性は十分にあり得ます。

 一方、厚生年金は(国民年金基金と異なり)「物価に応じてスライド」するので、将来2~3倍の物価水準(インフレ)になっても、相応の年金は受け取れることになっています。このため、個人事業主として一定の利益が得られるようになったら(それなりの役員報酬を支払えるようになったら)、老後を見据えて法人化するのも良いかもしれません(最終判断はご自身でお願いします)

 また、高齢になったときに病気で働けなることだってあります。もしくは事業に失敗して「老後のための預貯金」がなくなることだってあります。しかし、厚生年金を納めていれば、病気だろうと預貯金がなかろうと、(国民年金+国民年金基金の少額受給と異なり)相応のお金がもらえます。これは大変助かりますね(最終判断はご自身でお願いします)。「利益が出てきたら法人化 ⇒ 相応の厚生年金保険料を支払う」という自衛手段を講じないと、老後は やや苦労するかもしれません。

 ・・・とはいえ、「国民年金基金」は、個人事業主として事業を運営されている場合には「将来に向けての担保」として非常に重要なモノであることに変わりありません。個人事業主の方は、国民年金に加え、国民年金基金にも加入しておいたほうが無難です。

[注] 「マクロ経済スライド」について

 以前は、物価の変動に対応して年金受給額も変動する物価スライドを採用していましたが、少子高齢化、平均寿命の伸び、そして年金財源の不足問題などがあり、2005年より、マクロ経済の変化も勘案する「マクロ経済スライド」という玉虫色の制度が導入されました。つまり、以前の物価スライドの時よりも受取額がやや少なくなるという制度に移行されました。

 物価スライドは、物価の変動に対応して年金受給額も変動していくというものです。一方、マクロ経済スライドの場合、物価が上昇した場合には、物価スライドをベースに 「マクロ経済全体の変化(年金の被保険者(加入者)の減少や平均寿命の延び、更に社会の経済状況)」 も考慮して、年金の給付金額を変動させるという仕組みになっています。

 マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、1人あたりの賃金や物価が上昇する場合にのみ実施されることとなっており、下落する場合には物価スライドが実施されます。

 マクロ経済スライドは、5年に1度、年金の財政状態の評価と今後の見通しを作成され、財政検証が行われることになっていました。今までは景気の低迷などにより物価が横ばい&下落してきたため、マクロ経済スライドは適用されてきませんでした。しかし、少子高齢化が進む中、将来世代の年金を確保するため、2015年4月に初適用されることが決まりました


  6.「全国民の年金一元化」の見通しは?  

 以前、民主党政権時代に「2018年度までに年金が一元化される」という話がありましたが、これはあくまでも厚生年金(サラリーマン)と共済年金(公務員)との一元化の話でした。「(国民年金に加入している)自営業者の場合、所得の把握が難しいことから、厚生年金との一元化はやや困難」という見解が多く、国民年金も含めた「全国民の年金一元化」は不透明な状況(多分、当面ムリ)となっています。また、現在の自民党政権では、年金一元化の話は出ていないようです。このため、個人事業主が 年金一元化 をのんびりと待ち続けるのは大変リスキーですので、ご注意ください(ちなみに、公務員の共済年金は、2015年10月に一元化されることが決まっています)

 民主党が、まだ野党しか経験していなかった時代に「国民年金もひっくるめて一元化しないといけない!」云々と主張していましたが、政権を取った後はそんな話を一切しなくなりましたね。諸政策においても、マニフェストに書いてあったはずの事柄が、財源不足?も手伝って、結局ほとんど実現できず、最後は(日本の財政状態を破裂寸前まで追い込んだ張本人である)自民党政権にまた戻ってしまいました。・・・こんな状況ですから、(個人事業主の)国民年金と厚生年金等との一元化をアテにしてのんびりと待っていたら、大変なことになちゃいますね。あぁ、オソロシヤ~。

 ・・・繰り返しますが、「個人事業で一定の利益が出てきたら法人化 ⇒ 相応の厚生年金保険料を支払う」という自衛手段を講じるのも賢明な策のひとつです(最終判断はご自身でお願いします)。「政治家の無責任な発言」をアテにせず、自分の身は自分で守りましょう!


  7.年金は「高利回り」なのでオトクです。  

 「どうせ年金なんて、私たちの老後の時代には破綻して受け取れなくなる」という投げやりな意見も聞かれますが、年金破綻は国家の破綻を意味すると言っても過言ではありません。つまり、将来年金を受け取れなくなるという事態は起こりにくいということです。

 ただし、年金受給率は、「現時点で政府が公表している受給率」よりも下がる(受取額が少なくなる)可能性は大いにありうると思います。とはいえ、民間の保険会社等がやっている個人年金(個人年金保険)などと比較すると、比較にならないほどの「高利回り」なモノです。年金財源の不足分は税金が充てられるのですから、民間金融機関の商品である個人年金等ではとても太刀打ちできないですね。

 預貯金や個人年金も大事ですが、自営業者(個人事業主)なら国民年金プラス国民年金基金を、そして法人化の暁には厚生年金を支払っていけるようにしたいですね。更に余裕のある方は、より豊かな老後生活を送るために小規模企業共済 や 民間金融機関の個人年金 などに加入してみるといいですね。