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新会社法の概要と会社設立要件について

1. 新会社法の概要について(旧法との違い)
2. 会社法 施行前と施行後の「会社設立要件」の比較
3. 設立費用 等の比較


1.新会社法の概要について

 従前は、株式会社は「商法」に、有限会社は「有限会社法」の範疇にあり、同じ「法人」でありながら、別個の法律となっていましたが、今回の会社法施行(18年5月施行)により、「会社法」へと事実上一本化され、同時に 会社法施行後において 有限会社の設立はできなくなりました。

 「会社法」では、従前の法規制が大幅に緩和されており、柔軟な設立が可能となりました。以下に主な変更点や旧法との比較をまとめました。

(1) 最低資本金規制の撤廃
 株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が不要となります。最低資本金規制はなくなります(1円でも設立可能)。

(2) 類似商号に関する規制の撤廃
 従前は、会社設立時にチェックする必要のあった類似商号に関する規制が撤廃されます。これにより、同一市区町村内に類似商号や同一商号があっても、何も気にせずに「会社名」を付けることができるようになりました。

(3) 払込金保管証明が不要となる
 従前は、株式会社の発起設立や有限会社設立の際に(資本金を会社に出資するに当たり)、「出資払込金をいったん銀行に預け、銀行で保管しました」という証明書を発行してもらうという作業が必要でした。
 しかし、新会社法施行により、その保管証明の手続きをなくし、代わりに「残高証明書」を設立登記の添付資料として使用することができるようになりました。以前は、この証明書を銀行に発行してもらうのに、有限会社設立でも15,000〜30,000円の手数料を取られていましたが、施行後は残高証明書の発行手数料(数百円〜千円弱程度)で済むようになりました。また、証明書発行後は、その出資金(資本金)を すぐに事業資金として使用できるというメリットもあります(従前は、登記が完了するまでの間、銀行側が資本金を「別段預金」の名目で一時的に預かり、引出しができませんでした)。
 なお、発起人が第三者とともに株式を引き受ける「募集設立」の場合は、従前通り「出資払込金保管証明書」の添付が必要となります。

(4) 会社の機関設計を自由に組み合わせることが出来るようになる
 「会社の機関」とは、取締役・取締役会、監査役・監査役会、会計参与・会計監査人、株主総会などを指し、これらの機関を組み合わせることを「機関設計」といいます。定款に「すべての株式の譲渡について取締役会の承認を要する」と定めている「株式譲渡制限会社」(多くの中小企業が該当します)では、会社の個別事情に合わせた機関設計をすることができるようになりました(つまり、監査役会や取締役会を設置しなくてもよい)。

(5) 従前の株式会社と異なり、取締役は1人のみでOK。
 従前の株式会社で義務付けられていた取締役会の設置が任意になります。取締役会を置かない場合は、取締役の人数は最低1名でもOKです。ただし、取締役会を置く場合は、取締役 3名以上 が必要となりますので、ご注意ください。また、任期も従前は取締役2年、監査役4年でしたが、定款で定めれば各々最長10年まで延長が可能となりました。



2.会社法施行前と施行後の「会社設立要件」の比較

 会社法施行前と施行後の会社会設立要件等を、以下に列記し比較してみました。

内容 新会社法 施行前 新会社法 施行後
設立できる会社 株式会社、有限会社、
合名会社、合資会社
株式会社、
合名会社、合資会社、
合同会社(日本版LLC)など
↓ 以下は、「 旧・株式/有限会社 」と、「 会社法施行後の株式会社 」との比較です。 ↓
最低資本金規制 株式会社:1,000万円以上
有限会社:300万円以上
(確認会社を除く)
制限なし
発起設立の
払込金保管証明
必要 銀行等の残高証明を利用可能
会社の機関設計 株式会社:
 株主総会+取締役会+監査役
有限会社:
 社員総会+取締役会
         (+監査役)
・株式譲渡制限会社では、
 取締役会の設置が任意
・株主総会+取締役(1名以上)
 も可
取締役・
監査役の
人数・任期
取締役 株式会社:3人以上、任期2年
有限会社:1人以上、任期なし
3人以上、任期2年が原則(取締役会設置会社を除く)だが、
株式譲渡制限会社は1人以上で任期は最長10年まで延長可
(定款にその旨を記載)
監査役 株式会社:
 1人以上、任期4年
有限会社:
 設置は任意、設置した場合は
 任期なし
1人以上、任期4年が原則。
株式譲渡制限会社での設置は任意。任期は最長10年まで延長可能。
会計参与 設定なし 今回 新設された項目。全ての株式会社に設置可能。
株主総会
の招集
召集
通知の
発送
会日の2週間前 取締役会を置かない会社:
 会日の1週間前
 (定款で更に短縮可能)
召集
通知の
手段
書面または
電磁的方法(電子メールなど)
取締役会を置かない会社:
 書面等以外の方法でも可能
召集
通知の
形式
会議の目的事項を記載
定時株主総会については
計算書類等を添付
取締役会を置かない会社:
 会議の目的事項の記載不要、
 計算書類等の添付も不要。
株主総会で
決定できる事項
株式会社:
 法令や定款で決められた事項
有限会社:
 全ての事項
取締役会を置かない会社:
 全ての事項が決定できるように
 規制を緩和
 (株主総会の権限強化)



3.設立費用の比較

 会社法施行後の「株式会社」は、従前の有限会社(特例有限会社)と異なり、資本金は1円でも設立できますが、下表記載のとおり、設立登記費用で9万円もの費用が余分にかかります。つまり、社外への資金流出額が増えます(旧・有限会社に比し、差引 7万円の出費あり)。また、新会社法施行前に確認有限会社で設立した場合も、「解散事項」の文言削除にかかる変更登記費用が6万円かかります(通常の有限会社に比し、差引 4万円の出費あり)。

 ただし、合同会社の設立であれば、従前の有限会社よりも費用もかなり低く抑えられるほか、1人でも設立できます。費用を抑えつつ小規模会社を設立したいのなら、今後は合同会社も視野に入れてもよいと思います。

 なお、LLP(有限責任事業組合)は、2人以上の発起人が必要であること、給与形態も異なること、技術開発の組合など特殊な設立に向いている組織形態であること等から、一般の法人の形態とは色合いが異なります。

(1) 設立費用等の比較について (合名・合資会社との比較は省略)
内容 従前の有限会社 会社法施行後
の株式会社
合同会社
(日本版LLC)
日本版LLP(*4)
定款
認証
定款認証(*1)
  50,000円
印紙税
  40,000円
定款枚数(*2)
    750円
定款認証(*1)
  50,000円
印紙税
  40,000円
定款枚数(*2)
 750円(3枚)
印紙税
  40,000円
なし
出資
証明
払込証明
  20,000円
残高証明
   1,000円
残高証明
   1,000円
残高証明
   1,000円
設立
登記
登録免許税
  60,000円
登録免許税
 150,000円
登録免許税
  60,000円
登録免許税
  60,000円
会社
実印等 (*3)
約20,000円 約20,000円 約20,000円 約20,000円
合計  190,750円  261,750円  121,000円   81,000円

(*1)電子公証の場合は、0円です。ただし、行政書士に委託しないと電子公証を利用できないケースがほとんどです。委託した場合、行政書士から4〜5万円程度の手数料を取られます。
(*2)定款のページ数1ページにつき250円。記載内容が3ページに亘った場合は750円となります(原則的には、定款表紙は枚数から除きます)。
(*3)会社実印1万円、会社銀行印1万円として仮計上したものです。
(*4)日本版LLPとは、「有限責任事業組合」のことを指します。

(2) その他 参考比較 (LLC、LLPとの比較)
内容 従前の有限会社
(特例有限会社)
会社法施行後
の株式会社
合同会社
(日本版LLC)
日本版LLP(*4)
出資者 1人以上でOK 1人以上でOK 1人以上でOK 2人以上
構成 役員、従業員 役員、従業員 役員、従業員 組合員
社員への給料
支払い可否
できる できる できる できない(「給与支払」というスタイルは採用不可)
出資者責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任
法人税 課税 課税 課税 非課税(組合員個人に課税される<パススルー課税>)
組織変更 特例有限⇔LLC/合資/合名へ変更可
特例有限⇔LLPへ変更不可
(株式会社への変更は「組織変更」とはならず、商号変更の扱いになる。定款変更登記により名称を変更)
株式⇔LLC/合資/合名へ変更可

株式⇔LLPへ変更不可
LLC⇔株式/合資/合名へ変更可
LLC⇔LLPへ変更不可
(合同会社や合資会社等の持分会社から株式会社への組織変更が可能になりました)
LLP⇔株式/LLC/合資/合名へ変更不可