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  株式会社の決算公告方法について
1. 「株式会社」の決算公告の方法は、3種類
2. 「官報」 「日刊紙」 「電子公告」 - 費用の比較
3. 「インターネット公告(電磁的方法/電子公告)」による決算公告
4. どれがベストな決算公告方法か


  1.「株式会社」の決算公告の方法は、3種類  

 会社法施行前(平成18年以前)においては、株式会社は「商法」に、有限会社は「有限会社法」の範疇にあり、同じ「法人」でありながら「別個の法律」となっていました。しかし、平成18年5月の会社法施行によって同法へと事実上一本化され、同時に 会社法施行後において 有限会社の設立はできなくなりました。その代わり、有限会社の事実上の受け皿となる組織形態として「
合同会社」が新設されました。すなわち、会社法では「株式会社」「合同会社 (LLC)」「合名会社」「合資会社」の合計4種類の会社形態が認められています。会社法では、従前の法規制が大幅に緩和されており、柔軟な設立が可能となりました。 株式会社は、株主総会の承認を得た後、遅滞なく貸借対照表又はその要旨を公告(いわゆる決算公告)する義務があります。仮に怠った場合は、100万円以下の過料(金銭罰)となります。

 この決算公告は、「官報」、「日刊紙」、「電子公告」の3種類から選べます。昔は、「官報」または「日刊紙」への公告の2種類しかありませんでした。しかし、平成13年の商法改正により、「株主総会の承認を得た後、5年を経過する日まで、法務省令に定める電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けられる状態に置く」という措置をとれば、「官報」「日刊紙」への公告でなくともよい(つまり電子公告でOK)ということになりました。

 この「公告方法」については、定款に「どの方法による公告を選択したのか」を記載する必要がありますので、新規に株式会社を設立する場合は、あらかじめこの3方法から最も良い方法を選択し、明記しましょう。

 なお、(決算だけでなくすべての)公告方法を「官報」「日刊紙」とした場合であっても、決算公告(貸借対照表の開示)に限り、電子公告(自社サイトへの電磁的方法による開示)を行うこともできます(会社法440条3項)。


  2.「官報」 「日刊紙」 「電子公告」 - 費用の比較  

(1) 官報
 官報は、2枠なら 60,816円、3枠なら 91,224円、4枠なら 121,632円 になります(いずれも消費税8%の税込価格)。中小零細企業の場合は貸借対照表のみの掲載となりますが、スペースの関係上、通常は2枠のスペースが必要となります。これを毎年支払っていくことになります。高いですね。

(2) 日刊紙
 日刊紙は、目玉が飛び出るほどの多額の費用がかかります。このため、ほとんどの中小企業は日刊紙に掲載する方法を選択しません。

(3) 電子公告
 自社のホームページに掲載する場合、費用はかかりません。ただし、5年間の公告が義務です。帝国データバンク等の他社公告サービスを通じて掲載するなら、1年間で「3万円+消費税」程度となります。同じく5年間の公告義務があります。


  3.「インターネット(電子公告)」による決算公告のケース  

(1) 「決算」の電子公告について
 「インターネット公告」(電子公告 / 電磁的方法による公告)の場合は、自社などのホームページに決算を公表すればよく、費用はほとんどかかりません。また、既に株式会社を設立しており、かつ従前の「官報への公告」を選択している場合であっても、決算公告(貸借対照表の開示)に限り、電子公告(自社サイトへの電磁的方法による開示)を行うこともできます(会社法440条3項)つまり、決算公告のみ電子化(インターネットの公告)する場合は、「官報記載」としていてもOKです。掲載要件は、以下のとおりです。

(2) 掲載要件について
① ホームページ上に貸借対照表の全体を掲載します(資本金5億円未満、負債総額200億円未満の会社であれば、貸借対照表の掲載のみでOKです)。

② 決算公告のみインターネットで行う場合、定款の変更は必要ありませんが、取締役会にて「決算公告だけをインターネットで行う」旨の決議をします。また、「貸借対照表に係わる情報の提供を受けるために必要な事項」として、決算公告をするURL(ホームページのアドレス)の登記をします。

③ ただし、向こう5年間 継続して掲載しなければいけません。

④ ホームページは自社のものでなくても構いません(後述 (4) 参照)。

(3) 電子公告のデメリットとは?
 ここで気をつけなければならない点は、サイトユーザーが貴社のサイトにアクセスすると、いともカンタンにあなたの会社の台所事情を閲覧できてしまう点です。「貸借対照表のみの掲載でOK」とは言っても、資本項目(純資産の部)の「当期純利益(損失)」を見れば、前年度の業績が一発で判ってしまいます。業績が良ければ自社サイトで公開しようが問題ありませんが、各種事情で業績が悪化した際には、あなたの会社のイメージは悪くなってしまいます。
 また、ご近所やお知り合いの方がサイトにアクセスした場合も、ご自身の会社の財務状況を閲覧できます。そのような状況となりうることを、予め認識しておきましょう。
 更に、「一般の目に触れる」ということになると、「悪用されて予期しないトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではない」という状況下にも置かれるということを理解しておく必要があります。

(4) どこのサイトに掲載する?
 なお、決算公告は、自社のサイト(ホームページ)でなくとも、帝国データバンク等の決算公告専門サイトによる掲載でもOKです(参考リンク:帝国データバンク・インターネット決算公告サービス)。ただし、公告掲載・情報登録料として3万円程度の費用がかかります(官報への公告費用の約半額程度)。最低5年間の掲載が義務となっているので、仮に5年間継続して同社を利用するなら 3万円×5年=約15万円かかる計算になります(ちなみに、帝国データバンクは、1年で32,400円、5年契約で12万9,600円)。業者のサイトに掲載する場合は、そのサイトのURLを貴社の登記簿に掲載することになりますので、登記(変更登記)をお忘れなく!
 自社のホームページも、業者の有料ホームページもイヤだ!という場合、別個に自分で独自ドメイン(ホームページアドレス)を取得して、そのサイトURLを法務局で登記すれば、そちらに掲載することも可能です。URLを登記して、そこにしっかりと掲載(公告)するのであれば、このような変化球的!?手法も可能です。

(5) 決算公告に限らず、全てを電子公告にされる際のご注意
 ちなみに、決算公告に限らず、「公告のすべてを電子公告に変更」したい場合は、事前に調査機関による調査が必要となり、調査費用(電子公告を行ったという証明費用)として約20万円を支払う必要があります(参考リンク:法務省 電子公告調査機関一覧)。また、株主総会の「定款変更決議」後に、法務局で変更登記の手続きを行う必要があります(登録免許税3万円)。なお、定款変更の際は、その定款にURLの記載は不要ですが、法務局で登記簿にURLを記載する必要がありますので、混乱されないようご注意ください(参考リンク:法務省 電子公告制度について)。


  4.どれがベストな決算公告方法か  

 結論から申しますと、貴社の実情に即した方法を選択するのが最もよいと思われます。どれがベスト/ベターな方法かということは、会社の個別事情により異なってきます。

(1) 「費用を全く気にしない」、「一過性の公表にしたい」
 というのであれば、「日刊紙」がベターです。ただし、前項目でも申しましたとおり、掲載費用はビックリするほどの高い金額(50~100万円程度)になりますので、中小企業の場合、現実的な選択方法ではありませんね。

(2) 「費用をあまり気にしない」「決算書をあまり閲覧されたくない」
 というのであれば、「官報」での選択も検討の余地があります。官報の場合、個人顧客など、一般の人々が閲覧・購読することはあまりない、つまり「官報を逐一チェックする人は少ない」という面があります(ただし、官報マニアや信用調査機関などは、必要に応じて閲覧しています)。官報での公告費用は、毎年5万円以上かかります。

(3) 「費用は極限まで抑えたい」、「決算書を見られても構わない」
 というのであれば、自社サイトのホームページに掲載する方法が良いですね。ただし、掲載後5年間の公開が義務付けられているので、削除しないように気をつけましょう(決算を削除すると、過料の対象になります。但し、善意・無重過失 <悪意がなく&とんでもない過失でない場合> である場合を除く)。