株式会社の設立方法・手順

会社設立 (法人の開業)

株式会社設立の手順

会社設立の手順は、以下のような流れになります。平成18年の会社法施行から早10年以上が経ちましたが、流れそのものは 従前の有限会社や株式会社の設立と さほど変わっていません。ただし、一部の手続きが簡素化&変更されています。本章では、その具体的な手続き方法 について解説します。

類似商号を念のため調査する

印鑑を作成する

定款を作成する

定款の認証を受ける

出資金の払込

設立登記の申請

無事に会社設立!

税務署・年金事務所等に書類提出

手順1: 「類似商号」を調査

【 法務局で調査する 】
社名のことを正式には「商号」といいます。会社法施行後の株式会社設立においては、類似商号をチェックする必要性が少なくなりました(心配な方は念のためチェックしましょう)。ただし、同一住所に同一商号の法人は設立できません。

・同一住所の可否
× ダメ 三丁目4番5号  三丁目4番5号101号室
○ OK 三丁目4番5号101号室  三丁目4番5号102号室

・同一商号の可否
× ダメ 鈴木 株式会社  株式会社 鈴木
○ OK 鈴木 株式会社  株式会社 スズキ機械

以上の×印 同士の組み合わせの場合は、「同一住所の同一商号」という扱いになり、設立できません。万一のトラブルを回避したいなら、念のため法務局に備え付けられている「商号調査簿」でチェックしておきましょう。

なお、仮に「紛らわしい住所&商号」で設立できたとしても、商号差止請求 や 不正競争防止法に基づく損害賠償 を起こされる恐れが無いとも限りませんので、その点に配慮して商号を決めましょう。

「商号・住所を確認」するだけなら、国税庁の「法人番号公表サイト」でも確認可能です。ただし、これは国税庁から法人番号の指定を受けた会社が掲載されているものです。このため、このサイトで「ある程度の調査・確認」をして、法務局で最終確認する、というのが一番スムーズだと思われます。

なお、法務省のページで法務局で「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査」を紹介していますが、事前申請・登録が必要ですので、お近くに法務局がある場合は、直接窓口に行って調べた方が早いかもしれません。

【 インターネット検索で調査 】
Google や Yahoo などのインターネット検索でも、同じ商号(会社名)がないか、あるいは似た業種の会社がないか、念のため調査しておきましょう。

特に、同一業種で「同一商号」あるいは「紛らわしい商号」の会社があった場合、後々トラブルの原因にならないとも限りません。同じような社名があった場合は、なるべく避けておいた方が無難です。

【 ドメイン検索で調査 】
会社を無事設立できて、次はホームページの「独自ドメイン」を取得しようとしたら、「すでに先に取得されていた」という話は、意外とありがちです。法人のみが取得できる「.co.jp」や、人気の「.jp」「.com」「.net」あたりは、取得されていないかどうかを 事前に確認しておくことをおススメします。

なお、ドメインを取得するなら、「ムームードメイン」や「お名前.com」あたりのドメイン取得業者がオススメです。お名前.com は、業界最大手 & 東証1部上場企業 の GMOインターネット (株) が運営、ムームードメインは同グループ傘下の GMOペパボ (株) が運営しており、両社とも信頼度の高い企業です。また、価格も業界最安値水準ですので、安心して末永く利用できます。

【 商標登録を調査 】
商号に使おうとしている名前が 商標登録されていないかどうかを確認したい場合は、特許庁の「特許情報プラットフォーム」のサイトへアクセスすると その内容を閲覧・確認できます。将来的なトラブルを回避するため、念のため確認してみるといいですね。

手順2: 印鑑を作成する

会社設立および事業運営に最低限必要な印鑑は、①社長個人の実印、②会社実印、③会社銀行印 の3つです。

よく印鑑屋などで「会社設立3点セット」として売られている印鑑は、①~③の3点のことをいいます。その他、事業運営上必要となるものに ④会社角印(社印)や、⑤ゴム印があります。

個人実印
まず、会社設立のために一番最初に行う作業は定款を作成し 認証を受けることですが、その際に必要となるのは ①個人実印 です。既にお持ちなら、あらかじめ市役所等で印鑑登録しておきましょう(公証人役場で定款の認証を受ける際に、個人実印の印鑑証明書が必要となります)。

会社実印(代表者印)
会社実印は、法人設立登記や設立後の諸決議等、様々な重要局面で必要となります。印鑑は、「印影が著しく複雑または簡単であるため、照合に適さないものでないこと」とされ、一辺が10mm以上30mm以内の正方形に収まるものでなければなりません。

会社銀行印
会社銀行印と会社実印を区別していない方もいらっしゃるようですが、「銀行からお金を引き出せる、お金を借りられる印鑑」として使用するものであるため、なるべくなら会社実印とは別に作成しておきましょう(ほとんどの会社は「会社実印」と「会社銀行印」を別個に使用しています)。

「経費節約のために実印と銀行印を兼用しましょう」と書かれている記事も散見されますが、かなり危ない行為と言わざるを得ません。取引関係者や第三者が印鑑証明書(或いはコピー)を入手すると、その証明書の印影を使って簡単にお金を引き出すこともできるんです。オソロシイですね。多少の出費でリスクを低減できるのですから、別個に購入しておきましょう。

会社角印(社印)
角印とは、四角い印鑑のことをいい、社印とも呼ばれます。主に請求書や領収書などで使用されるものです。請求書などに安易に「会社実印(代表者印)」や「会社銀行印」を押印するのは、印鑑偽造等の問題があり、大変キケンです。このため、設立当初から仕入や販売などの「対外的な取引」がある方や、プロバイダなど「各種利用契約」をご予定している方は、この角印(社印)を使用できるよう あらかじめ作っておきましょう。なお、印面がゴム製、取っ手がプラスチック製の激安価格の角印もありますので、使い方によってはこれでもかまわないと思います。

ゴム印 (ほかに 横版、住所印、宛名印、小切手印 などの呼び名あり)
ゴム印とは、会社の住所・電話番号・会社名・代表取締役名などが刻印されているスタンプのことをいいます。ゴム印を買っておくと、伝票などへの住所記載の簡略化に役立ちます。ただし、利用頻度が低そうでしたら、ゴム印を買わなくても構いません。手書きで間に合わせましょう。

個人銀行印
銀行預金等の安全性を重視するのであれば、①社長個人の実印(個人実印)とは別に個人銀行印も持っておくと良いと思います。